うまくいかない日々
うちがオープンしてから、お陰様で9ヶ月目に突入しました。
9ヶ月の間、紆余曲折いろいろなことがありつつ、年が変わってから師匠が仲間になってくれて、今年はうちにとって益々発展の年にしようと思っておりますが、このところは正直あまり思い通りにいかないというか、全体的になんとなく悩んでいます。
今まではひとりだったので、自分の信念が第一でした。
自分が良ければそれでいいというか、自分の信念を分かってくださるお客様と楽しくやっていければいいというか、そういう気楽な感じで経営しておりました。
私を支持してくださるお客様の輪が徐々に広がっていけばいいなぁと、細かい戦略はありつつも割と考えずに経営していました。
もちろん今も自分の信念とそれをご理解してうちをご利用くださるお客様が1番大切だということは変わらないのですが、師匠がうちに来てから私の中でひとつ大きな変化がありました。
それは、なんか自分のことなんてめちゃくちゃどうでもよくなったんです。
今までは自分が出した利益というのは全部自分の店のものだったので、利益が出なければ自分の取り分がないだけだったのですが、そうはいかなくなりました。
今までだったら絶対に我慢できないようなことも店の利益の為になるならば耐えられるというか…自分の感情なんて本当にどうでもよくなりました。
私は子供を持ったことがないので分かりませんが、子供を持つ母親というのはこんな気持ちなのかなぁと想像してみたりしています。
ただ、経営者というのはどんなに崇高な理念があろうと、どんなに素晴らしい人間であろうと、売り上げを上げられなければ無能です。
そういう意味では私なんかはまだ経営者という名前をつけるレベルにないほど低いラインにいます。
私が売り上げを上げられなければ給料を払うことができないので、経営者としてはこれ以上ないほど役立たずです。
現状の私は、経営者としてはまだまだ役立たずの域を出ることができません。
今はまだ理想と現実があまりにもかけ離れていて、でも、近道はなく一歩一歩やっていくしか方法はないので、今はとても苦しい中にいます。
私としては今は耐え時なのかもしれません。
ここを乗り越えることができれば、私個人としても店としても大きく成長できると信じて、引き続きお客様おひとりおひとりと向き合っていきたいなと思います。

そんな感じで悩むまではいかないにしても何となく苦しさを感じていた時、私が尊敬している大好きな先輩から連絡をいただきました。
違う分野ではありますが、同い歳の女性の方で経営者としては2年先輩のとても素敵な方です。
見た目もすごく美人で綺麗な方なのですが、何よりとても優しくお客様想いの方で経営者としても人としても尊敬している女性です。
その方がお店のことですごく悩んでおられました。
私とその方は仕事のジャンルは違うのですが、ある特定の「技術者」という部分で仕事的に似ているところがあるので、その悩みが痛いくらいに分かりすぎて一緒に泣きたいくらいでした。笑
こんなに優しくてお客様想いでしっかりと技術のある方でも、小さくないトラブルが起きてしまい(巻き込まれたという方が正しいです)それにとても悩まされてしまうことがあるんだな、と思うと「商売というのは、改めて難しいな」と感じました。
私も師匠もそうだし、私の尊敬する先輩の方もそうだと思いますが、「自分の店に来てくれたすべてのお客様に満足して帰っていただきたい」と思っています。
でも、正直、色々なタイプの人がいる中で“すべてのお客様”というのは本当に“理想”です。
ただ、現実はそう簡単にはいきません。
どんなに店側がそう思っていて実行したところで、想いが届かないお客様や行き違ってしまうお客様もいらっしゃいます。
私たちはそれに対して、妥協せずに少しでも多くのお客様に満足していただけるように日々精進していかなければいけませんが、それでも完全に0になることは無理です。
経営者としてはそんなことにへこたれてはやっていけませんが、やっぱり一生懸命やって、しかもこちらに落ち度がないにもかかわらず、お客様に悪口を言われてそれが経営上重大な問題となった場合、一生懸命やっていればやっているほど悲しい気持ちになってしまうのが人間として当たり前の感情ではないかと思います。
私も何度となくそんな思いをしているので、先輩のことが自分のことのように思えて居たたまれなくなりました。
これが「経営」というものなのかもしれません。
今までの私は「楽しい!」という感情重視でやっていたし、それが大切だと思っていたのですが、この頃はもはや楽しさなんてものは本当にどうでもよくなってきました。
自分が楽しいとか楽しくないとか、辛いとか苦しいとかそんな自分の感情はもうどうでもよくて、少しでも多くのお客様にご満足いただいてしっかりと利益を出し、しっかりと給料が払えれば自分のことなんかどうでもいいなと、心の底からそう思うようになりました。
本当に、悲しいくらい無力な私は、今の現状をどうすることもできず、ただ一歩ずつ毎日やっていくしかないのですが、お客様を含めた私に関わってくれる皆さんが色々な意味で良い想いをすることができるように自分とこの店を磨いていこうと、最終的にはそう思った次第です。
私の大好きな先輩が少しでも早く元気になってくれるといいな。
商売って本当に難しいですね。
ー後日談ー
2020年3月3日更新
私はこの3年の間に「商売というものはどうしようもことがある」というのを学びました。
私は最近「もう理解してもらえないことは諦めている」という表現をよくするのですが、これは本当に諦めているわけではなく「どうしようもないことに悩まない。出来ることをするだけ」という考え方に切り替えたからです。
その切り替えの大切さ・完璧主義でいないことが、商売を長く続けるコツなのかもしれません。
私もほんと、精神的に強くなったなぁと思います。笑