押し売りに辟易している現在の広告戦略

私が商売をする上でもっとも難しいなと思うのは「広告」です。
世の中には本当に様々な広告媒体というのが存在しており、まずどの広告に載せるか絞り込み、次にどんな内容にするのかを考えなければなりません。
広告が世に出た後は今度は費用対効果を測定しなければなりません。
そうやって試行錯誤しながら、広告の戦略を練っています。

先々月の9月は思いの外、お客様がたくさん来てくださりとてもいい感じだと思っていたのですが、10月は記録的な長雨の影響で売り上げが9月の半分以下になってしまいました。
まだオープンして間もないのでそんなに焦るということはなかったのですが、いかんせん時間が有り余ってまして(笑)
いい機会だと思って以前から勉強したいと思っていた”広告”に関する書籍をiPhoneで読んでみました。
10冊以上広告関連の本を読んで色々と勉強になりました。
やはり人生は一生勉強ですね。

私の広告戦略は、オープン当初は価格推し一本でした。
これが記念すべき第1号のシンヴィングに出した広告です。


これは正直めちゃくちゃ反響がありました。
これが出た次の日から、シンヴィングを見た方が1日3人以上来てくださり、さらに問い合わせもかなりありました。
価格を見ていただければわかると思いますが、iPhone6の画面割れ交換が5,980円で6Sが7,980円ですからね。

この時は周辺店舗から考えると信じられないような激安価格だったと思います。笑
これで味をしめ、その次もその次もしばらくは価格推しで広告を打っていました。


でも、やっていくうちにどんどん違和感を感じ始めました。
私の店のコンセプトは「信頼できる長く付き合える修理店」で、決して価格で勝負したいわけではない。
それなのにうちの店に来てくださるお客様はほとんどの方がこのコピーの価格目当てになってしまっているな、と。
しかも、コピーで広告を打ってこの価格を目当てで来てくださった方に、コピーパネルと液晶純正パネルの違いを説明すると悲しい顔をされるんですね。
さらにいうと、価格推しでいくと画面割れのみならず液晶故障だった場合に、金額が大きく上がるので「え!そんなかかるの?安いから来たのに〜」という失望感を生んでしまう状況が発生してしまっていました。

私は決して嘘をついていたわけではありません。

実際にこのメニューは存在しておりますので嘘ではないのですが、コピーの価格を推して広告を打っているとだんだんと嘘をついているような気持ちになってきてしまい、電話に出るのも嫌になってきてしまっていました。

うちは「適正価格」が経営理念ではありますが、安さのみが売りなわけではないのに、自分自身でそれを売りにしてしまっていました。
それによって一瞬のお客様は増え目の前の利益は増えましたが、信頼感と安心感というものを置き去りにしてしまっていたことを、本を読んで気付かされました。

オープン当初の広告の目的としては「うちの店を広く知っていただくこと」でしたので、安い価格推しは間違いではなかったというか、そういう意味では成功だったかもしれません。
しかし、その伝わり方が「安い店」となってしまいました。
本来は「信頼できる店」「安心して任せられる店」「また来たくなる店」という認知のされ方が理想でした。

iPhone修理で安さのみが売りの店なんて五万とありますので、安い店という認知であればうちの店を選んでいただく理由がありません。
これは本当に致命的なミスでした。
禁断の果実に手を出したなと自分でも今は思います。
地に足をつけてしっかりとコツコツやっていくべきだったなと今は後悔しています。

そして、広告戦略を全く変えました。
こちらが先月のシンヴィングです。

価格とメニューの掲載は一切やめて、シンヴィングはコラム形式にしました。
これが今月です。

掲載物の広告にも価格は出していません。
私の顔と経営理念のみです。

広告の本を読む中でとても心に刺さる言葉があったんです。

「今は物が飽和しているのに広告というのは価格を全面に押し出しているところばかりだ。それを見ている人は押し売りされたような気分になる。だから頭に入って来ず認知もされない。お客様に来て来て!とアピールする前にあなたがお客様に対してまず出来ることを提供しなさい。商売は、ギブ&ギブだ!テイクは後からついてくるものだ。」と。

それを読んでハッと気付かされました。

まず、どういう目的で私は広告を打つのか?と。
うちの店は「安心できる長く付き合える修理店ですよ。」とお客様にお伝えして、うちの経営理念である“お客様に安心してきていただく”ために打つのではないか。 
そのためには、まず私からお客様にギブしていかなければならなかったんですよね。

信頼して!安心して!と口で言ったって信用が得られるわけもなく、自分が自ら行動して見せていかなければいけませんでした。
この行動を怠ってしまったから安易に安売り路線を取ってしまったんですよね。

安売りって楽なんですよ。バカでもできるから。
他店より安くしさえすればお客様は一定数来てくれます。
オープン当初のうちのように。
でも、それって経営じゃないですよね。
それなら誰がやっても同じですもん。わざわざ私がやる意味がない。

スケールメリットの使える大企業やそういう戦略のところならいいですが、うちのような個人店では絶対にやってはいけないことだったことを学びました。
ですので、簡単にですが少しでもお客様の役に立てる情報を掲載していく路線に変更しました。

シンヴィングのコラムの内容は、主に私が普段このブログに書いているiPhoneの豆知識や修理店の裏情報などをまとめたものなのですが、うちのブログを読んでいない方もたくさんいるので、そういう方たちにアプローチできればいいかなと思います。

この戦略は一朝一夕に効果の出るものではありませんが、価格推しで目の前のお客様を一瞬獲得するよりも、うちの「長く付き合えること」「信頼できること」というコンセプトにはピッタリだと思います。

何より私が広告を考えていて楽しいです。

大切なお客様を騙すような気持ちになるのはもう懲り懲りなので、今後もうちの広告や掲載物に関しては、基本的に一切の価格を載せない方針を取ることに決めました。

ですので、価格に関してはこのホームページのメニュー表を見ていただけますと幸いでございます。

シンヴィングの担当の飯塚さんとも「コラム見た!っていう人が早く出てきてくれるといいね〜」とワクワクしています♪(まだいません。笑)

このワクワク感を忘れてしまっていました。。。

店主がつまらないと思っている商売にお客様が来て下さるほどこの世の中は甘くないと思いますので、「仕事が大好き」というこの気持ちを噛み締めつつお客様と接していけたらと思います(^^)

しかし、広告って難しいですね〜。 

ー後日談ー

2020年2月28日更新

広告は今でも難しい課題のひとつです。
私は今は「広告は出さない」という戦略に変えています。
このブログ記事にある通り、価格で推しても希望しない客層を集客してしまいますし、逆に、安心で推しても集客できないので、広告は出さず、日々コツコツとブログを更新し、常日頃から信頼を集め、必要な時に使ってもらえるように努めています。

今は「共感力」の時代ですからね。
テレビCMのようなマス広告は時代にそぐわないのではないかと思います。

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