点検料を取ったらぼったくりなのか?

スマートフォンは、修理のご依頼を頂いても最終的に直せない「修理不可」のことが時々あります。

修理不可の時には、私がそれ以上何か出来ることはなく、正規店に行って本体交換していただくか、買い替えていただかくかしか方法がありません。

一部、基盤修理を承っている修理店なら対応してもらえる症状もありますが、私はよっぽどの事情がない限りは、程度の良い中古に買い替えてしまった方がいいと思っているので、基本的には買い替えをお勧めしております。

1つの端末において「修理不可」という答えを出すまでに、何個ものプロセスを踏んで最終的な結論を出します。

もちろん、故障の状態にもよるのですが、お客様が端末をお持ち込みになり、修理不可に至るまでに1時間かかるなんてこともザラです。

下手すりゃ2、3時間なんてこともあります。

このとき「直らなくても点検料をいただくかどうか?」という話になります。

当社はですね、基本的に点検手数料は頂きません。

直らない場合には、無料にしています。

しかし、個人的な意見を正直に言うと「点検料はいただくのは当然」だと思っています。

でも「直らないのにお金をかけたくない。直らないのにお金を取るなんて悪徳じゃないか」という意見があることも知っています。

こういう人は民間の修理店に行くべきではないし、修理店側も修理を受けるべきではないと私は思っています。


以前、iPhoneの修理店の情報サイトにこんな一文が掲載されているのを見ました。

「非正規店に修理に出して直らない場合、点検料を取るところもあります。注意しましょう。」というものでした。

これを見て「修理屋ナメてんな」と思いました。

「注意しましょうって何?人の知恵と時間を借りて見てもらってるんだから、取られるのは当然だろ!」

というのが私の感想でした。

取られるのが当然で、もし、取られなかったら、それはラッキーなだけです。

親切なお店に当たっただけ、ラッキーだっただけなんです。

それを履き違えた文だと感じました。



上述の通り、うちは点検料を頂いておりません。

点検にどんなに時間がかかったとしても、直らなければ無料です。

復元をご希望された場合には手数料を頂きますが、それは最終手段としてお客様にご希望をお伺いしますし、単純にハード面の点検だけなら無料です。

ではなぜ「直らない場合でも点検の手数料を取るのは当然とか言ってるくせに、自分は手数料を取っていないのか?」というと、ひとつは性格の問題が大きいです。

直らなかった場合に「はい、3,000円」と言うのが私にとってはストレスです。

唯一、水没だけは起動できなくてもクリーニングの作業費として全機種一律3,980円という料金は頂いておりますが、これでも直らなかった時は非常に心苦しいです。

水没時は、心を鬼にして作業費をいただいております。

そして、もうひとつ大きな理由としては、うちは故障品の買取や中古の販売を行なっているので、そちらで利益が出せるからです。

私たちも点検費をいただくくらいなら、故障品を買い取って中古端末を購入いただく方が利益が出せますし、お客様としても点検費を端末購入に回せる上、故障品を買い取ってもらえるとなれば好条件ですよね。

しかもうちの中古は他の店舗販売と比べると数千円は安いので、かなりお得です。

まさにWin-Win。


だから、点検は「無料」にして門戸を広くしています。

そこで直れば修理をしてもらえるし、仮に直らずそこで利益を出せなくても、違うご提案をすることができます。

これがうちが点検費をいただいていない理由②です。

私は、性格的に直らない場合に点検費をもらうことが苦痛なので、そんな私の性格を知る師匠が「点検費をいただかない代わりにどうしたらちゃんと売り上げを上げられるのか?」と考えてくれた末にここに行き着きました。

まぁ師匠も同じような性格なんですけどね。笑

もちろん、だからと言って、中古の購入や故障品の売却を強要することは一切ありません。

私たちは店頭販売以外にも販売チャンネルを持っているので、もし、ご購入されなくても売って頂けなくても全く問題はありません。

しかし、うちの出している中古端末は、店頭販売の価格としては破格なので、その場ではご購入されなくてもほとんどの方が後日買いにいらっしゃいます。

故障品を下取りという形にすればさらに安く買えてしまいますので、お客様としてもお得なのではないでしょうか。


点検費をいただかない当社ですが、その代わり「直らなきゃ無料で当然」みたいな顔している人の修理は、最初から受けないことにしています。

ほとんどそんな方はいませんけどね。

ほとんどの方は数分の点検でも、端末をお返しする際に「いくらですか?」と聞いてくださいますし、優しい方になると「無料です」とお伝えすると「悪いから」とガラスフィルムや充電器などのアクセサリ類を購入してくれます。

そういうお優しい方に対して、私自身も「当然だ」ではなく「思いやりのある方に来てもらってラッキーだった」と思っています。

ですので、何か購入してもらえれば有難いですが、してもらえなくても特に何とも思いませんので、その点はご安心ください。

しかし、ごく稀にいるんですよね。

「何で直らないのにお金払わないといけないの?」という人。

こういう人は正規店に行くべきです。

勘違いしている人がいるのですが、私たちは一度でも店のサービスを利用してもらわない限り、ただのiPhoneユーザーは、お客様ではありません。

iPhoneの使い方をタダで教える義理も全くないし、はたまた無料で点検してあげる義理も一切ありません。

もし、やってくれる店があったのならば、それは店主が優しかっただけの話です。

店主の好意です。

現に私は、気軽にiPhoneの使い方を聞きに来られても、自分のストレスになるので、断っています。

もちろん簡単なことであればお教えしますし、繋がりのある“お客様”には色々とご協力していますけどね。

それは、もちろんお互いの「持ちつ持たれつ」という関係性の中で成り立っていることです。

修理店やリサイクルショップの戦略として「いつも気軽に来てもらっていて何かあったら利用してもらう」ということもあるので、それは非常に理にかなった立派なお店だと思います。

しかし、正直、私にはそういうことは出来ないしやりたくもないので、日常的に気軽に来てもらうようなことは、お断りしています。


でも、正規店はiPhoneを買ってもらった時点で、iPhoneユーザーはお客様です。

モノとサービスを使ってもらっている以上、iPhoneユーザーはお客様なので、自分のところの商品に不具合が起きれば、点検する義務があります。

だから「直らないのにお金を払いたくない」なんて輩は、黙って正規店に行けばいいんですよ。

そんな状態の端末は、正規店ではどうせほとんどが本体交換の措置になります。

しかしそれが嫌でも、関係ない他人、ましてやプロの知恵と時間を使っておいて「直らないのに金払いたくない」なんて奴は迷惑千万なので、正規店に行くのが筋というものです。

正直、別にいいんですよ、払う気がなくても。

ただ、私たちも人間なので「当然」みたいな顔されると、そりゃ腹立ちます。

せめて払う素振りを見せるとか、有難うくらいは言うとか、そういう思いやりって大切ではないですか?

女性が男性と食事に行って、男性が全額払ってくれるとしても、会計時に女性は財布を出して払う素振りはするべき、みたいなものです。

そして、男性が払ってくれたら「ありがとうございました。美味しかったです。」と心を込めて言いますよね。

そういう思いやりは、たとえ相手が恋人ではない赤の他人でも、平等にもつべきではないですかね。

少なくとも私は持つように心掛けています。


民間の修理店に修理に出して端末が直らず、たとえ点検料がかかったとしても、それは当然のことであり、ぼったくりでも悪徳店でもなんでもありません。

店側としてはそれが嫌なら自分で修理しなよ、と思いますし、それも嫌なら大人しく正規店に行くべきだと感じます。

「直らないと点検料を取るところもあるので注意しましょう。」なんて言い草は、一生懸命、修理店を運営している人たちに対して非常に失礼です。

取られるのは当然、取られなければラッキーです。

私などやりたくなきゃ受けないので別にいいのですが、修理店の中には、運営が苦しいところもあるみたいなので、店側になにか親切にしてもらえたら、数百円でも売上に貢献してあげると助かるのではないかと、個人的には思います。

私も思いやりを忘れずにいたいものです。